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ゲノム時代には、配列解読とマッピングという偉業が達成された。ポストゲノム時代に突入した現在の主役はプロテオミクスである。プロテオミクスは特定条件下のタンパク質発現様式を研究する学問だが、この分野の技術面・学術面の課題は途方もなく多い。
プロテオーム(細胞または組織内の全タンパク質)は、ゲノムと違い細胞や組織のタイプにより異なるうえ、ほとんとすべてのタンパク質は翻訳後に変化してしまう。また生育条件、発達段階、疾病の状態も発現パターンに影響を及ぼす。
プロテオミクスの研究者は使い勝手、スループット、自動化、再現性、検出感度に優れた新技術を求めているが、中でもタンパク質解析で最も効率改善が期待できそうなのがプロテインアレイすなわちプロテインチップだ。プロテインチップはまだ設計段階にあるが、生命科学分野の研究者は、基板の表面処理、捕獲物質、検出技術の研究が進めば現在の技術的なハードルは越えられると自信を持っている。
DNAマイクロアレイと同じような飛躍的進歩は難しいかも知れないが、プロテインチップの市場機会はDNAチップよりはるかに大きいと見込まれ、開発促進のインセンティブは強い。有望な製品が開発されれば、同市場は2006年までに5億ドル規模に達する可能性もある。 (15ページ)(著者:Andrew Broderick) |