遺伝子組み換え(GM)食品は安全且つ望ましいとモンサントはしきりに訴えたが、一般消費者には受け入れられなかった。この一件を受けて、早々と一部のアナリストは食品バイオ産業に未来はないと宣言している。この見方はいささか大げさにしても、同業界が危機に瀕していることは間違いない。 トランスジェニック植物やGM食品は今なお論議を巻き起こしており、すぐには結論が出そうにない。かと言って遺伝子組み換え技術の実用化を差し止めるのはもはや不可能であり、GM作物の研究は続行されている。現実的な対応としては、消費者の権益と商業化の機会をうまく均衡させられる効果的な規制や政策を練り上げるべきだろう。最近までバイオ業界は「ライフサイエンス」戦略をとり、農業、食品、医療産業でバイオのプラットフォームをクロスオーバー的に活用しようと試みてきた。だが産業によって市場のダイナミクスが異なるため、それぞれの業態にきめ細かく対応した価値創造戦略に切り替えざるを得なくなっている。 一方、政策面のハードルも予想される。規制動向に対応し商品化を推進するためには、ライフサイエンス産業は分離および分別生産流通、試験、遺伝子組み換え表示、責任管理、国際競争、知的財産権の保護といったさまざまな問題に取り組まなければなるまい。 (15ぺージ)(著者:Andrew
Broderick)
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