パーベイシブ・コンピューティング分野での消費者向け製品・サービスの研究開発に関しては、日本は欧米より積極的である。パーベイシブ・コンピューティングとはコンピュータのネットワーク化と通信技術の統合による誰でも・いつでも・どこでも利用できるコンピューティング環境を意味するが、こうした環境が一般ユーザー向けに整備される時期は、米国より日本の方が早そうだ。
理由としては、日本では官学両面で研究が進んでいること、携帯電話インフラの方がブロードバンドのインターネット・インフラよりも整備が進ん
でいること、日本の消費者の嗜好性や日本の家電メーカーの姿勢が追い風となっていることが挙げられる。
学術研究の段階で特に関心が高いのはスマート・スペース、エンハンスト・リアリティ、ソフトウェア・エージェントであり、ゲームを始めとする消費者向け製品で早期の収益化が期待できる。また日本では携帯電話を始めとするネットワーク・インフラが整い、しかも継続的に改善されていることから、企業にも個人ユーザーにもパーベイシブ・コンピューティングを受け入れる下地ができている。
さらに日本やアジア地域の多くでは、パーベイシブ・コンピューティング製品・サービスの早い段階から消費者向けアプリケーションに欧米を上回る需要を見込めるだろう。特に有望なのがスマート・ホームである。日本の家電メーカーはパーベイシブ・コンピューティングの将来性に注目し、消費者向けの新たなアプリケーションに投資するべきだ。日本はパーベイシブ・コンピューティング製品・サービスの格好のテストケースとなると考えられ、ネットワーク、通信、エレクトロニクス企業は同国に拠点を置けば、またとない実験をつぶさに観察し関与できるだろう。
(6ページ)(著者:Carolyn E. Sleeth)
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