マイクロ・エレクトロ・メカニカル・システム(MEMS)は極小サイズまでスケールダウンしたデバイスに機械部品、センサー、アクチュエーター、電子部品が組み込まれたもので、環境変位の検出・操作ができる。大きさは数ミクロン、数ミリメートル程度しかなく、可動部を持たない場合もある。これまで大量に製品化された例としては、ディスクドライブのヘッド、インクジェットプリンタのヘッド、加速時センサー(エアバッグ用など)、圧力センサーなどがある。
しかしこれ以外の分野でもきわめて有望で、体内に埋め込むメディカルデバイスやlab-on-a-chipデバイスなど医療用のバイオMEMSを始め、光/無線を使った通信機器、自動車、エレクトロニクス、防衛、プロセス制御・機器、家電など幅広い応用が考えられる。
このように幅広い市場性が見込まれる一方で、阻害要因も多い。市場が細分化していること、MEMS専用の製造プロセスを必要とすること、業界共通のパッケージング・プロセスや標準がないこと、などが問題である。
開発各社がこうした問題に前向きに取り組むなら、MEMSは多くの産業で重要な役割を果たすようになるだろう。特に医療、通信、自動車産業に期待がかかる。
(16ページ)(著者:Jose Joseph)
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