Jose Joseph

　 マイクロアレイを使ったバイオ分析装置は、大量の生物分子を同時並行的に解析する高効率の小型装置で、ゲノミクス、プロテオミクス、メタボロミクス分野での活用が期待される。こうした装置の登場で、医薬品候補物質のスクリーニング、疾病素因マーカーの識別、病原体や毒性物質の環境・臨床試料の分析手法は大きく変わりつつある。

　 既存の解析手法に比べると1回の分析に必要な試料の数が1,000〜10,000個も少なくて済み、解析にかかる時間は数日単位から数分単位に短縮。さらにコスト削減と精度の向上も実現する。ユニットの小型化・一体化が進み、自動解析ができるので試薬、サンプル量、時間の節約になるだけでなく、新しい機能も備わっている。例えば将来の診断装置は複数のパラメータについて短時間で解析を行えるようになり、医療現場で迅速な診断や対応が可能になると期待される。

　 マイクロアレイ装置が持つこうしたたくさんのメリットを背景に開発競争が激化しているが、市場で広く支持されるためには克服すべき課題も少なくない。中でも最も急を要するのは、価格を妥当な水準まで引き下げることであろう。
（著者：Jose Joseph）