RFID技術は、既に多くの製造技術や生産方式(ジャスト・イン・タイム製造、ジャスト・イン・シーケンス組立、マス・カスタマイゼーション、リーン生産、ビルト・ツー・オーダー、デリバリー・ツー・オーダー、など)で威力を発揮している。
またサプライ・チェーンやロジスティックスの分野では、RFID技術の導入により、サプライヤー・リレーションシップ・マネジメント、バーチャル倉庫、リバース・ロジスティックス、サプライ・チェーン・インテリジェンスなどのソリューションが実現した。
無線ICタグを活用すれば、ERP(基幹業務統合)システムにもリアルタイム性をもたせられるようになるだろう。だが、サプライ・チェーンでRFID技術が効果的に運用されるまでにはハードルも多いようだ。初期投資の回収、標準化の進展、またデータ処理能力は拡張性といった問題指摘はもっともで、パイロット・プロジェクトではこれらの懸念に明快な答を出せていない。サプライ・チェーンの中で対立が起きる可能性は消えず、特にインターネットのB2B市場ではその危険性が高い。一部のサプライヤーは、自分たちだけが無線ICタグ導入コストを負担させられ、他のサプライヤーはただ乗りするのではないかと懸念している。
とは言えさまざまな思惑をよそに、導入は着々と進行中だ。特に製造現場では企業が自分で標準や収集データの内容を決められるため、導入は急速で進んでいる。さらに最近ではウォルマート、米国防総省、ジレットなどが高度なサプライ・チェーンを構築しており、ほかにも導入例は多い。技術面の標準や応用が生まれる混乱期が、RFIDにも始まっている。
(15ページ)(著者:Martin Schwirn)
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