紛争はビジネスにはつきものである。企業は顧客と も揉めるし、取引先、提携先、規制当局、社員ともすったもんだする。また社内では事業部、事業単位、社員同士が悶着を起こす。こうした紛争は必ずしも悪で
はなく、健全な競争や創造的解決につながることもある。
だが紛争処理の仕方がまずいと時間や経営資源が浪費され、挙げ句の果てに金のかかる訴訟に発展しか
ねない。このため10年以上前から裁判に代わる紛争処理方法が模索されてきた。代替的な紛争処理メカニズムは、オンライン取引では特に有効と考えられる。国境を越えた取引が多く、裁判管轄の確定が難しいといった事情があるからだ。
オンライン紛争解決(ODR)のアプローチは基本的にはオフラインと同じで、交渉、調停、裁定、鑑定、苦情処理の円滑化を目的とする。ただしすべてのプロセスはオンラインで進めるため、当事者にはどこかに出向く時間や費用はかからない。ODRの活用は急速に伸びており、数千に上るケースで民間ODR機関による解決が実現している。解決までのプロセスは迅速且つローコストで融通性に富み、事態が深刻になる前に誤解を解くことができる。
(14ページ)(著者:Parul R. Merlyn)
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