コンタクトレス・カードとも呼ばれる非接触型カードが伸びている。今後10年で市場が急拡大することは間違いなさそうだが、どんな用途が主流になるのかはまだはっきりしない。
非接触型カードで一番よく知られているのは、恐らく決済手段としての利用法だろう。しかしこれは実際には市場のごく一部を占めるに過ぎず、最適の決済手段であるとも言えない。非接触型カードは、店頭など一般的な決済よりも交通機関の発券システムなど「閉じた系」での利用が中心となるだろう。
むしろ開発側・利用側双方の関心を集めているのは、セキュリティや認証などへの応用である。具体的には、RFIDタグ(無線ICタグ)を利用した小売店頭の盗難防止システム、高度な保安対策を要する施設の入退出管理、工場・空港などでの本人確認やIDカードなどが挙げられる。
米国政府はテロ対策の一環として電子パスポートの導入を義務づけており、2008年頃には電子パスポートが非接触型カードの最大市場となりそうだ。電子パスポートを始めとする非接触型のIDカードは、性別や国籍など標準的な情報のほかに、指紋や虹彩など個人の身体的特徴(生体情報)をデータ化して搭載する。2010年には非接触型カードの市場規模は10億枚に達すると見込まれる。
(10ページ)(著者:Martin Schwirn)
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