コスト抑制の必要性に迫られているヘルスケア産業では、患者をできるだけ外来に移して管理する方向が模索されている。時を同じくして一般消費者の間でも、自分自身の健康管理は自分でしたいという意識が次第に高まってきた。これらは今では決して実現不可能ではない。
最近の技術の進化によって通信可能な携行あるいは着用型モニターなどが登場し、健康状態の遠隔監視や在宅監視は十分可能になってきた。例えばバイオセンサーは、グルコース(血糖値)、脂質・コレステロール、治療薬の服用量などを測定し、医療分野で活用されている。おかげで糖尿病など慢性病患者の職場復帰が可能になり、主治医が患者の状態を常時チェックできるようになった。
在宅健康管理も有望な応用分野である。健康状態に関するデータを常時収集するほか、緊急時などには医師へのすみやかな情報提供も可能だ。健康モニター機器の市場はまだ確立されてはいないが、将来的にはかなり有望と見込まれる。米国ではほぼ9,000万人が慢性疾患を抱えており、有力な潜在ユーザーだ。例えばグルコース・モニターだけでも、年商規模は35億ドルに達すると見込まれる。この市場に参入するためには明快なビジネスモデルを開発し、あくまでエンド・ユーザーの立場で機器やシステムを設計することが求められる。
(8ページ)(著者:Andrew
Broderick)
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