ここ1年半ほど、オフショアリングが目立って増えてきた。オフショアリングとは、主として低賃金の国外へテクノロジー関連などの業務をアウトソーシングすることである。オフショアリングが企業にどれほどの長期的利益をもたらすかを確実に判断するのは、現時点では時期尚早であろう。しかしオフショアリング現象の実態を詳しく把握することは、今でも十分可能である。
コールセンターのオフショアリングは、当初非常に評価が高かった。だが業務の質の問題やコストの上昇、州議会などを巻き込んだ国内からの反発といった理由から、今ではコールセンター業務を国内に戻す動きがある。IT業務のオフショアリングになるとさらに問題が多い。企業は国内からの反発のほか、移転先における文化の違いや専門知識の不足、労働コストの上昇といった問題に取り組まねばならない。
オフショアリングはかつて特効薬のようにもてはやされたが、決してそうではないということだ。とは言えオフショアリング現象は何らかの形で定着している。自社のニーズを最もよい形で満足させるにはどうしたらいいか、企業は長期戦略を立てる必要があるだろう。
(6ページ)(著者:Thomas M. McKenna)
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