無線技術は、ハードウェア型の通信形態からソフトウェア型の通信形態へと進化しつつあり、様々な新しい通信方法の可能性を開くとともに、リアルタイムでその場の状況に適応する知能を備えた認知無線(cognitive
radio)の土台を築きつつある。
例えば将来、緊急救助隊員の間では、災害発生地で自動的に接続を確立し、混信を起こさないように伝送信号を設定してくれるばかりか、出力や周波数、変調を調整して、困難な状況でも信頼できる通信を確保できる認知無線が使われるようになるかもしれない。次世代型携帯電話での認知無線技術の利用は、特に興味深い分野である。ハイブリッド型デバイスがユーザーとの対話から学習し、ユーザーにとって一番いい行動をとることが可能になるかもしれない。
様々な研究機関がソフトウェア無線(SDR)と認知無線技術に取り組んでいるが、技術がその可能性を発揮できるようになるには、まだまだ研究が必要だ。また、SDRをウイルスやスパイウェアから守る必要性が指摘されているほか、通信事業者がライセンスを取得している周波数帯の価値がSDRのせいで下がりかねないという通信業界の懸念も認識されている。とはいえ、認知無線技術は3〜5年後には実証段階に入ると思われる。標準化団体は5〜7年以内に標準化に取り組むだろう。
(6ページ)(著者:Marcelo Hoffmann)
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