このリポートはSRIコンサルティング
ビジネスインテリジェンスのラーニング・オン・デマンド(LoD)プログラムが作成したもので、「ワークフロー・ラーニング」の主な特徴について検討する。ワークフロー・ラーニングはワークフロー研究所を主宰する学習の教祖ジェイ・クロスの造語であり、ある職種・職務固有の仕事と密接に結びつき、その目的やプロセス、ワークフローと関連づけられた学習を意味する。リポートではワークフロー・ラーニング・システムの設計・展開に関するケーススタディも取り上げるほか、ワークフロー・ラーニングの導入を考える企業やベンダーのための助言を行い、具体的な手順も紹介する。ケーススタディを分析したところ、早期にワークフロー・ラーニングを採り入れた企業には次の三つのメリットが認められたという。
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生産性や業績が向上する:仕事と直接関連づけられていない従来型の「ジャスト・イン・ケース」的な学習とは違い、ワークフロー・ラーニングでは学習と業務プロセスや作業タスクの間に、より密接な連携と結びつきを形成する。そのため、学習したことをそのまま仕事に生かしやすい。
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学習のコンテンツやリソースの関連性と活用度が向上する:ワークフロー・ラーニングのコンテンツは従来型の教育ソフトウェアとは違って細分化されたユニット型になっており、より仕事に直結したかたちになっている。このため仕事の流れの中で簡単にすばやく手にして有効活用することが可能だ。これに比べると従来型学習の汎用的で抽象的なコンテンツは使い勝手がわるい。学習コンテンツはプッシュ型、プル型いずれでも活用でき、仕事中に必要になったとき気軽に利用できる。
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学習者のニーズや仕事内容に特化しており、利用者の満足度が高まる:優れたワークフロー・ラーニングは学習者や職務内容を重視し、取り組み中の仕事によって発生する学習ニーズに合わせて組み立てられる。ワークフロー・ラーニング・システムは複数の学習者の好みにも応じられるような融通のきく仕組みになっており、どのように学習を進めるかは学習する本人が決められる。また幅広いオプションも用意されている。
企業がワークフロー・ラーニングをどの程度まで導入するか、また導入がどれほど急速に進むかは現時点でははっきりしない。しかし、たとえば業務プロセスの見直しを含めた大規模な改革に携わるマネジャーなどは、ワークフロー・ラーニングを実行する最適の立場にあると言えるだろう。ワークフロー・ラーニングの実行にはとりたてて新しい技術は必要ないが、現在開発が進んでいるポータル技術やシステムが実現すれば、将来のワークフロー・ラーニングの実行に役立つと見込まれる。このほかウェブ・サービスも、ワークフロー・ラーニングの円滑化や急速な普及に役立つと考えられ、既にいくつか有望な用途が見つかっている。このように長い間には、仕事や学習のあり方が大きく変わることになりそうだ。 (36ページ)(著者:Eilif
Trondsen) |