友人から教えてもらった裏情報、おいしいレストランやおもしろい映画、腕のいい医者等々といった耳より情報を広める口コミは、昔から消費者の購買決定に多大な影響を与えてきた。近年ではインターネットを始めとする電子的な手段の登場で、たった一人の個人からでも大勢に向けて同時発信することが可能になり、口コミという長い実績のあるマーケティング手法は威力と魅力を一段と増している。バズ・マーケティングとも呼ばれる個人の影響力を活用したマーケティング手法は、元来エンターテイメント的な要素やファッション性の高い商品、あるいはごく斬新で「尖った」商品にふさわしいとされてきた。
だが実際には、必ずしも目新しくて変わっていてとっぴな商品でなくてもかまわない。家庭用洗剤のような日用品、あるいは処方薬のようなものでもバズは起こせる。予めバズを念頭においてデザインしておけば、どんな商品でも効果的にバズ・マーケティングを活用できるはずだ。バズをうまく起こすためには、製品・ターゲット層とバズ発生術がマッチしていなければならない。消費者同士の社会的なネットワーク、消費者のものの見方、購買決定に製品が関与する度合いなどの要素が成功に大きくかかわってくる。またバズを起こしたいのか、長持ちさせたいのか、もう一度よみがえらせたいのか、によっても戦術は変わってくる。
(19ページ)(著者:Kristen Thomas)
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