2003年にはRFID技術を巡る記事が多数発表され、新たな熱狂を呼び起こした。この技術がサプライ・チェーンに革命をもたらすとの期待は引き続き強く、効率の大幅改善、有用なデータの大量供給、まったく新しい用途の開拓に寄与し、一般消費者の生活様式まで様変わりするのではないかと予想されている。
RFID技術には大きな潜在性が秘められているとは言え、こうした期待は時期尚早の観がある。RFIDいわゆるICタグが期待通りのメリットをもたらすまでには、技術的ハードルのほかに事業面、実行面で多数の課題をクリアしなければならない。
まず技術面をみると、信頼性と精度の向上、干渉の抑制、標準の確立、インフラの整備が必要だ。また市場では既に普及したバーコードその他の方式と競争しなければならず、コストの大幅削減が急務である。これまでのところ、RFID技術の有用性はパイロット・プロジェクトやごく限られた場面(製造現場など)でしか実証されていない。こうした制約はあるものの、ウォルマートが納入業者に対し2005年を目途にICタグへの切り替えを求めるなど、導入の動きもいくつか出てきた。こうした動きをきっかけに普及に弾みがつくと考えられる。
(著者:Martin Schwirn)
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