たくさんの技術が登場したおかげで、今日では消費者・人口動態・製品に関して膨大なデータを収集し、さらにデータ・マイニング・ソフトウェアを使って分析することが可能になった。またeメールを使えばターゲット層一人ひとりに宛ててパーソナライズした情報を送ることができ、しかもコストはダイレクトメールに比べほんの少しで済む。
オンライン広告や企業のサイトなどウェブを通じたマーケティングの機会も豊富になった。携帯電話や携帯情報端末(PDA)を始めとする携行型通信機器が普及していつでもどこでも個人を狙い撃ちできるようになったことも、個人向けマーケティングを強力なものにしている。
しかし技術の力が売り手に味方するのと時を同じくして社会や政治の圧力は高まり、新しい法律の壁が立ちはだかるようになった。売り手に対する消費者の信頼感は急速に薄らいでおり、個人情報の保護を目指して団体が組織されるなど、迷惑メールを撃退する動きはさかんだ。規制当局はこうした動きを踏まえ、詐欺的な販売行為やプライバシー侵害に当たる行為を禁ずる法律を制定している。
このように厳しい条件の下でも、賢明な対策を講じるなら、評判を維持すると同時に消費者の信頼をつなぎ止めることは不可能ではない。例えば、予め受け手の承認を求めるパーミッション・マーケティングや、メッセージを消費者のニーズにマッチさせる手法、関心のある消費者にターゲットを絞り込む技術などが考えられる。
(15ページ)(著者:Parul R. Merlyn)
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