ナノ材料やナノ構造は、より大きなサイズの材料とは異なる特性、現象、プロセスをもち、いくつもの魅力ある商業的可能性をもたらす。ナノ材料は量子をベースにしたレーザーのように、何も手を加えない形ですでに存在している。しかし材料研究者の本当の課題は、ナノ材料、ナノ関連構造、デバイスを効率的かつ安価な方法で合成することにある。
研究者は構造の寸法を小さくすることで、カーボン・ナノチューブ、量子ドット、薄膜、レーザー・エミッター、共鳴トンネル・トランジスタといったユニークで商業的に重要な特性をもつ実体を作ることが可能になる。ナノ材料技術はまだ初期段階にあるが、成熟するにつれて技術革命が始まり、これまでにない材料性能や革新的な応用を実現する。
ナノ材料開発が今後2、3年で産業に影響を及ぼし始めるのは明らかだ。製造業者はナノ材料の環境・健康・安全面への影響が分かる前に、またナノ材料の使用や拡散を規制する正式なガイドラインが整う前に、商品化へ向けて多大な労力を費やすことになる。ナノ材料への需要は、化学製品・材料、化粧品、塗料、バイオテクノロジー、電子機器など多くの産業分野で高まるだろう。(18ページ)
(著者:Michael Adeogun)
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