現代の消費者は、意識的にせよ無意識にせよ、ますますリスクをとるようになっている(SoC064「リスクを消費者に転嫁する」参照)。その傾向がとくに顕著に見られるのが金融市場だ。消費者は、株式、投信ファンドなど株で運用する投資商品、変額年金保険、解約返戻金付き生命保険(insurance
with cash value)などに積極的に投資している。2000年に株式市場が調整局面に入りその後長い景気低迷が続くまでは、ほとんどの消費者は自分の投資がどの程度のリスクを伴うのか理解していなかった。
SRIコンサルティング ビジネスインテリジェンスの"Consumer Financial
Decisions (CFD)"では、金融商品の購買に関する米国の消費者の行動調査を一年おきに実施している。株式バブルのピークから4年が過ぎ、消費者の投資リスク意識がバブル前、あるいはバブル期より高くなったことがわかる。
本論は資金運用リスクに対する消費者の意識変化に注目し、そうした変化が、現在米国が直面している社会保障民営化問題にどのような影響をもたらすかを検討する。
(11ページ)(著者:Larry Cohen, the CFD
program) |