RFID(無線自動認識)技術は、ここ5年間で小売業界に急速に普及している。だがその多くは主としてサプライ・チェーンに関わるものである。直接消費者に向けた応用ができれば、供給流通面のメリットを消費者にもたらすという間接効果の他にもメリットが提供できるはずだ。
例えばカスタマーサービスの改善、正確な製品情報の提供、生産地や製法などの情報開示による透明性の向上などが考えられる。ただし、そのためには、消費者が購入する商品一個一個に無線ICタグをつけなければならない。現在のコストを考えると、ほとんどの消費者向け製品の場合、個別タグはまだ数年は先になりそうだ。高価な商品、賠償責任が絡むような商品、流通販売が規制されている商品(闇に流れやすい鎮痛剤など)などの場合には、多少コストが高くてもかまわないかも知れない。だが大半の商品では、個別にタグをつけるのはまだ投資効果の点で疑問符が付く。
それでも、「RFIDは少々高級なバーコードに過ぎない」という認識を払拭するには、ぜひとも消費者向けの用途を開発しなければならない。消費者を含めたすべての市場参加者にメリットを提供できるようになったとき初めて、RFID技術はその威力を最大限に発揮するのだから。
(10ページ)(著者:Martin Schwirn)
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